株式会社インパクト

株式会社インパクトは、ソーシャルゲームの受託開発／運営、自社開発／運営を事業の柱とする。受託開発においては、株式会社バンダイナムコエンターテインメント社のタイトル「学戦都市アスタリスクフェスタ　煌きのステラ」を手がけたり、自社開発においては、かつて「ありさんのくらし」を大ヒットさせたことで知られる。

「今後は、自社開発や制作委員会形式で出資を募っていく案件を増やしていく予定です」と語るのは、同社代表の池田 義宏 氏。池田氏はプロデューサーとしてエンターテイメント業界を渡り歩いてきた経歴を持つ。『学園ヘヴン』『ラムネ』『ひとひら』といったテレビアニメのほか、ゲーム、音楽を手掛けてきた。その後ソーシャルゲームに可能性を感じた池田氏は、2010年9月に同社を創業。以降、モバゲーやGREEなど主戦場となるプラットフォームの移り変わりはありながらも、ソーシャルゲーム専門のメーカーとして走り続けてきた。

制作実績は男性向けの恋愛ゲームがメインだ。『君と一緒に』シリーズや『恋愛リプレイ』などがそれにあたる。とはいえ「現在は女性向けのゲームに比重が変わりつつある。来年は女性向けのほうが多くなっていきそうです」（池田氏）

現在の従業員は30名で、直近1年で10名ほど増えている同社。能力とやる気次第で重責を担うポストにつくことも可能だ。「一緒に会社を成長させていきましょう、という気持ちです」と池田氏もいう。一方で池田氏が目指しているのは「器用貧乏がむくわれる会社」。つまりスペシャリストのみならずマルチタレントを評価したい、ということだが、真意はどこにあるのか。
「普通の会社だと、いろんなスキルがあっても評価されないきらいがあります。ゲームのプロデューサーならゲームしかできないのが当たり前で、『ゲーム一筋20年』みたいな人が評価されやすい。ですが僕はゲーム以外にも数多くプロデュースしてきて、テレビアニメシリーズも何本もやっている。こうしたゲーム以外の知識もプラスに働くような、そんな会社にしたいと思っているんです」（池田氏）

同社プロデューサーの土橋 将人 氏が補足する。
「いわゆる『会社員』らしい人でなくても活躍の場が見出せる会社ですね。何しろゲーム制作というのは特殊技能の世界で、組織に組み込まれると思うように生かせないケースがあります。しかし当社でプロジェクトを担当するとすごい力を発揮するというケースが過去に何度もありました。そういう人に活躍の場を与えたいのです」（土橋氏）

いわゆる「ものづくりの職人」たちが集まるゲーム制作の現場だが、社内の雰囲気は穏やかなものだ。メンバー間のコミュニケーションが盛んで、和気藹々としている。これは池田氏の気遣いによるところが大きいという。
「どうしてもパソコンに向かう時間が長くなる仕事、ときにはハードな案件もあります。そういうときに必要な"ガス抜き"のために社員を飲みに連れ出していくんです。それがコミュニケーションの機会にもなっています」（土橋氏）

人材育成はOJTが中心だが、内容はごく実践的。エンジニア、ディレクター、プランナーらがリーダーのもとに集まり意見を交換する場面が絶えず見られる。またクライアントとの接し方もリーダーから学ぶところは多いという。

「私たちは小さい会社ですがクライアント企業は巨大。しかし対等なパートナーシップのもとで仕事をするという意識を強く持っています。御用聞きに終わらず、長年のソーシャルゲームの運営知見を活かして『ここはこうするべきです』と意見を述べていく。そういったところも、若い人たちには見てもらいたいのです」（土橋氏）

そのような環境下でディレクターをとりまとめる取締役/COOの佐久間 大介氏 と、取締役/CTOの平田 省吾 氏に話を聞くことができた。

「ディレクターに求めているのは、皆を引っ張るバイタリティを備えながら、クールなジャッジができる方」と佐久間氏。制作と運営の両方を手がけている同社。制作業務は納期第一に正確性を持って物事を進めていくのがポイントになる。運営業務「週刊誌をつくるようなペースに近い」とあって、やはりスケジュール管理が肝だ。また各クライアントと協業する場面も。これらの進行管理を担いながら、皆の意見を調整をしていく能力が必要になるのだ。

「当社での仕事のやりがいは、自分の意見を反映させられるところです。どのゲームタイトルを担当するかはクライアント様ありきですが、オーダーされたものをそのまま作るのではなく、自分の意見をベースに形にできるポジションなので。野心のある人、なしとげたいものがある人が活躍できる環境なのかなと思います」（佐久間氏）

平田氏は「エンジニアについては、一定以上の技術があれば特に問題ない」と述べた上で「幅広い技術があったほうがアイデアもいろいろ出てくるので望ましい」と続けた。

「基本的には自由な会社ですから『これがやりたい』といってダメだと却下されることは少ないです。それに、どんどん新しいものを取り入れていかないとやっていけない業界ですからね。まだそんな大きな会社でもないのですが、小さな１タイトルしかやってない会社でもないので、いろんな挑戦ができる環境ですよ」（平田氏）

採用基準については、「面白い人なら採用する」という意外な方針も聞かれた。元金融系エンジニアなど、ゲーム業界未経験者が少なからず活躍しているのは、そのためだという。技術的な基盤は当然あってしかるべきだが、そこに「面白さ」という基準が加わるということだ。
「他社の面接では『ちょっと違うかな』と評価されてしまう方であっても、当社はそれで落とすことはない。その方に才覚があり、光っていれば、積極的に評価していく方針でいます」（佐久間氏）

自由な環境で、自らのアイディアを活かしていきたい方には是非足を運んでほしい。