「自分の手でサービスを作れる人が世の中を変える時代が来る」と確信し、21歳で起業
株式会社divが運営する「TECH::CAMP」は、数ある教育ビジネスの中でも要注目のサービスの一つだ。
TECH::CAMPは未経験から1カ月でサービスを作れるようになるための「短期集中プログラミング教育」で、一番の特徴は、講義はまったく行わず、質問し放題の環境を用意している点。メンターがオンライン/オフライン(教室)で常に待機していて、わからないことを質問すれば、5分以内に解消できるのだ。
2014年11月にサービスインして以来、毎月月次ベースで最高受講者数を更新中。約2年半で、月次の受講者数は500人、卒業生は10,000人を超えている。
「プログラミング教育を日本一、効率的にやろうという発想でスタートさせています」
そう語るのは、代表取締役の真子就有氏。divは彼が大学4年生だった2012年3月に設立した。当時について、こんなふうに振り返っている。
「就活をしている周りの人たちのほとんどが大手や外資、官僚などのキャリア志向。プログラミングをやろうなんていう人は見当たらなかったんです。だけど、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグなど、自分のパソコン一つで何億人が使うサービスを作る人が世界を牽引していて、単純に凄いな、ワクワクするな、と思っていました。なのに誰もやろうとしない。これからは。自分の手でサービスを作れる人が世の中を変えるに違いないと確信し、当時21歳だった私は『ヤバい、今からじゃ遅すぎる!』と焦ってプログラミングの勉強を始めたんです」
やると決めたその日から、一日16時間はパソコンに向かって独学で勉強を始めた真子氏。しかし独学がゆえに、周囲に質問できる人もおらず、大苦戦する。結果、初めて自分の考えたサービスをかたちにできるようになるまでに1年半ほどかかってしまった。
「一方で、僕が横について教えてあげたインターン生は、わずか2カ月でアプリを作ってリリースしたりしていました。この差って何だろうと思ったときに、『すぐに聞ける人が近くにいるかどうか』だと気付きました。この環境を勉強する全ての人に提供する方法はないかと考えたことが、TECH::CAMPの立ち上げにつながるのです」(真子氏)
質問し放題、授業は一切なし、一読すればわかる優れた教材。これらがそろうことで、一番いいプログラミング教育が作れる——。彼のその思いは見事に的中。あっという間に軌道に乗せ、今や群雄割拠といわれる教育ビジネスの中で業界を牽引する存在となった。
「今では『1カ月の短期集中』をうたうサービスは増えましたが、僕らが始めた当時はほかにはありませんでした。そして、この1カ月集中というのが期間的にちょうどよかった。他のことを我慢してでも、自分のキャリアと未来のために投資する価値があると思えるギリギリのところだったんです」(真子氏)
現在のサービスラインナップは、テクノロジースキルを身につけられる「TECH::CAMP」を軸に、完全未経験者を対象に3カ月でエンジニアを育て、就活までサポートする「TECH::EXPERT」、法人向けのITスキル研修を行う「ビジネスソリューション」の3つ。拠点は渋谷・新宿・東京駅前・名古屋・梅田で展開している。
数々の失敗から学んだ経験が、テックキャンプの成功につながった
端から見たらTECH::CAMPを瞬く間に軌道に乗せ、とても順調にきているように見えるだろう。しかし本人は「まったくそんなことはない。これまでは失敗続きだった。」と話す。
在学中は、内定した急成長ベンチャーでエンジニアの仕事に加え、学生ながら新卒採用を担当していた真子氏。しかし「世の中にインパクトを与えることをしたい」と内定を辞退し、「仲間も人脈も事業プランも、たいした技術もコネもない状態」(真子氏)で会社を設立した。
「Facebookが個人の人間関係を可視化したのだから、次は人の興味を可視化する時代がくると読み、まずは自分の好きな音楽や映画、本、ゲーム、アニメなどをきれいに記録できるサービスを立ち上げました。反響はあったものの、加速度的に伸び続けるところまではもっていけず、半年でキャッシュアウトしそうになり、ベンチャーキャピタルからの出資も底をつきました」(真子氏)
あきらめなければチャンスはあると信じて、仲間に新規事業を託し、自らは受託開発をしながら皆の食いぶちを稼ぐ毎日。その後もコミュニケーションを軸にしたサービスの立ち上げを試みるも、一瞬バズるだけで軌道には乗らない。仲間も全て去り、一時は10数人いた社員はインターン生と真子氏の2人だけになる。
「2年間ほぼ一日も休まずに働きました。でも自社サービスの売上はゼロ。稼ぎがなければ社会に与えるインパクトはないに等しいと思ったときに、自分は2年半もの間、何をやってきたんだろうと思いました。あげく、有名な経営者に事業について相談できる機会があったときに、再起を狙って出資を期待して事業をぶつけたところ、『絶対にうまくいかないから辞めて会社をリセットした方がいい』と言われてしまったんです」(真子氏)
こうした失敗続きの中で、たどり着いたのが「理想先行ではなく、明確な事業のフレームワークにもとづいて事業を考えること」だった。「これから伸びる市場」「役務に対して対価が明確」「自分の得意なこと」という3つを掲げ、入念にサービスを検討。そうしてたどり着いたのがTECH::CAMPなのだ。
「周りからはうまく言っているねと褒めていただくことが多いんですが、僕の中では失敗していた期間の方が圧倒的に長いので、正直よく状況がよくわかっていません(笑)。ただ、設立当時に比べて技術力も上がり、様々な知見も増えた。精神論ではなく、どこよりも早くやって、失敗し、それを次に生かすということをやり続けるべきだという考えに至っています。そしてお客様のことを鵜呑みにし過ぎず、きちんと仮説を立てて検証していくことが大事だと。これは2年半の失敗のおかげだと思っています」(真子氏)
全ての行動はクレドに準ずる。生半可な気持ちでは人生を変えられない!
競合が日々増え続けているオンライン教育ビジネスの領域において、同社が成長していくための一番の強みは、間違いなく「理念」の強さだろう。
「僕たちには『人生にサプライズを』という企業理念があります。そして『人の人生を劇的に豊かにする』をビジョンに掲げています。僕らがTECH::CAMPをやっている理由は、教育がしたいからではなく、今の社会で必要とされているスキル、最も生産性を高めるスキルがプログラミングだと信じていて、それを効率的に学べる場所を作ることに意義を感じているんです。『人生を変える1カ月』とうたう以上、生半可な体制では絶対にダメ。受講者の皆さんはすごい期待値で来ますから、それに全力で応えないといけないんです」(真子氏)
たとえば、同社には現在、約150名のメンターがいるが、メンターの教育体制には何よりも力を入れているという。どんな質問にも必ず答えるためには、相当の知識を有していなければいけない。しかも技術力と教える力は別モノだ。「だから、リッツカールトンを超えるホスピタリティを身につけようと皆にいつも言っているんです」と真子氏は真剣に語る。
また、「世界一、人を幸せにする企業」を目指し、そのために「主体的に動く」「理解に徹する」「感謝を伝える」「できないことに挑戦する」「他社貢献」というクレドを大切にしている。全ての行動はこのクレドに準じており、たとえば毎日の朝会で仲間やお客様に感謝の気持ちを伝えたり、自分の行動について発表する機会をつくったりしている。
「ぶっちゃけプログラミングを教えようと思えば、エンジニアであれば誰でもすぐに始められる。しかし、それを組織でしっかりやっていこうと思ったら、強固な企業文化がなければ、同様のクオリティを提供し続けられません」(真子氏)
今後については、既存事業の拡大を目指しながら、その先に海外進出なども見据え始めた。「世の中を変えるプログラミング学習サービスだ」と皆に言われる未来を目指し、邁進していく。
「究極的には全ての仕事はプログラムを書くことになると信じています。あらゆる産業がソフトウェアになっていく今の世の中で、自動化の流れに進むのは間違いない。今以上に、プログラミングは学ばなければいけないものになるでしょう。そこに意義を感じています。だからこそ、人の人生を良くすることに喜びを感じ、サプライズを提供することに楽しみを見いだせる人、そして当社の理念に共感してくれる人と一緒に働きたいです」(真子氏)
株式会社 divの社員の声

20代後半
2018年06月入社
目標に対してであれば、極論、何をやっても良いというスタン...続きを読む

20代前半
2018年02月入社
以前受講生...続きを読む

30代前半
2018年02月入社
以前、PCにもあま...続きを読む