細部にわたるまで業務を理解し的確なマッチングを実現。
金融、コンサルティング、ITおよび経営層の各分野でプロフェッショナル人材の紹介などを手掛けている、株式会社コトラ。コンサルタントにそれぞれの分野に精通する業界経験者をそろえ、細部にわたるまで業務を理解していることにより、的確なマッチングを実現。過去5年間に紹介した人材の平均離職率2%という低さや、転職希望者の登録数がほかの人材サービスの50倍ほどと圧倒する専門分野があるところに、同社の実力が現れているといえる。
そんな同社は、目下、マーケティングの強化に取り組んでおり、「セールスフォース」などのツールを活用しての当該業務や、セミナー運営担当者を募集。ゆくゆくは“CMO”というポストの可能性もあるポジションである。
例えば“M&A”という業務一つとっても、企業によって行っている内容は千差万別である。また、職場のカルチャーも企業それぞれで違いがある。一方、転職希望者の能力やニーズも当然のように異なる。これらのことをよく理解できていなければ、人材紹介会社として的確なマッチングは不可能だ。
「当社は、これら分野のプロフェッショナル人材の紹介という領域に専門特化した“プロフェッショナル集団”であることにこだわっています。したがって、コンサルタントはこの方針を追求できる業界経験者を厳選採用しています。その上で、これらコンサルタントが常に最新の情報をキャッチアップして全体との共有を図り、切磋琢磨しながらサービスの水準を高めることに努めています」と代表取締役の大西 利佳子 氏は言う。
正社員としての転職だけでなく、フリーランスとしての業務委託や契約社員の形で同社が組織するプロジェクトメンバーとなり、企業の専門的な業務を請け負う「コトラプロ」という就業スタイルも提供している。
「スペシャリティが高い人材は、得てして正社員としての採用が難しい場合があります。しかし、比較的短期的なプロジェクト要員としては非常に高いニーズがある。そこで、そういった方たちを集めてプロジェクトチームを編成し、当該業務を請け負うというスタイルで就業していただく受け皿をつくりました。プロフェッショナルの自立を支援するしくみでもあります」(大西氏)。プロジェクトの例としては、金融機関のミドルバックオフィスの立ち上げなど経験やノウハウが必要なものばかりだ。「コンサルティング会社と違い、組織や業務の設計だけでなく、実作業まで一貫して受託するところが特色だと思っています」と大西氏は強調する。
また、同社では独自開発による互いの価値観を知るためのアセスメントツール「KOTORA25」を提供している。同社では、組織内でコミュニケーションが噛み合わない要因は、互いの価値観に基づくプライオリティの違いにあると分析。例えば、規律よりも顧客志向が上にある営業担当者と、個別の顧客のことよりも規律を守ることのほうが重要と考えるバックオフィスの話が噛み合わないといった齟齬は組織の随所で生じている。
「『KOTORA25』はこの齟齬を可視化できるので、互いの考え方を知り、コミュニケーションをよりスムーズにすることができます。また、価値観の異なるプロフェッショナルがそれぞれ高いパフォーマンスを発揮していることがわかるので、互いにリスペクトし合える風土づくりにも役立つと自負しています」(大西氏)
さらに、同社は優秀な機電系学生にセグメントした就職セミナーの運営企業を買収。将来のプロフェッショナルを目指すという同じメンタリティを有する若年層にアプローチし、シニアまでのキャリアをサポートしていく考えだ。
“プロフェショナル集団”として“成果こそが仕事”という社風!
大西氏は、大学卒業後に日本長期信用銀行に入行し、マーケット業務(長銀証券出向)や事業法人担当、融資、金融商品アレンジ業務などを手掛ける。そして、同行の経営破たんと新生銀行としての再スタートを経験した。
「長銀時代、組織を変革することに苦労していたところが、外資系の新生銀行に変わり、外部から新たな人材が入ってきて一気に変わったのです。その変化に衝撃を受けました。そして、組織を変革する主体そのものである人材を企業に提供するビジネスに強い関心を持ったのです。お客様のためになることをすればビジネスとして成立するばずと確信し、2002年10月、当社を創業しました」と大西氏は設立の経緯を説明する。
以来、自らの力で顧客の支持を受けてサービスを提供し、対価を得て社員の雇用や納税の義務を果たすことこそに企業としての存在意義を見出している。
「ですから、ベンチャー企業のようにファンドから資金を集めるといったことはせず、100%の自己資本を回転させ、黒字を維持しながら徐々に成長させていくことを基本に置いています。そういう意味でもソリッドで大人の雰囲気のある会社だと思いますね」(大西氏)
“プロフェショナル集団”として“成果こそが仕事”という社風がある。待遇も、同じコンサルタントでも年収に最大5倍の差がつくほどの成果主義だ。とはいえ、業務は一人でできるほど簡単ではなく、あらゆる局面で協業が必要となる。
このため、毎朝30分間のミーティングで全員の行動レビューを共有(メンバーが増えつつある今、ツールを活用しての効率化を検討)。また、自社でも「KOTORA25」を活用し、お互いを理解する研修を行っている。
一方、新人の入社時には歓迎会を行い、初めて受注を獲得した際は全員でお祝いをしている。また、12月の決算時にはその年のベストパフォーマーを表彰し称えているほか、16時頃から親睦会に繰り出している。
「昨年度は従業員も増え、すこし大所帯になったこともあり屋形船で東京湾周遊を行いました。過去の表彰会では、その年のベストパフォーマーが飛行機好きということもあって、羽田の整備工場に見学に行ったこともありますよ(笑)」と大西氏。
同社が目指すのは「プロフェッショナル紹介ビジネスの産業化」!「IT」の力で実現!
同社が目指すのは、「プロフェッショナル紹介ビジネスの産業化」にある。コンサルタントが30名ほどの同社でも“大手”であるほど、この分野は零細事業者ばかりという構造にあるからだ。
「少人数ばかりなのは、コンサルティングの在り方が属人的過ぎるからです。当社では、規模を拡大させながらも全体でベストプラクティスを共有し、確かなサービスを安定的に提供する産業としての紹介会社を目指していきます」と大西氏は力説する。
そのために積極的に活用していくのが、「IT」だ。個別の案件の発生から手数料が同社に入金されるまでのプロセスにおいて、膨大なコミュニケーション業務が発生する。これを、AIも活用しながら、どういうタイミングでどんな情報を送れば最適なのかを割り出しコンサルタントをサポートするといったシステム化を図る必要がある。
また、転職希望者や中途採用ニーズのある企業にアプローチするデジタル広告の展開も必要である。一方、マーケティング戦略におけるリアルなチャネルとしてのセミナーも重視しており、工数のかかる運営の効率化も求められる。
こうしたIT化を、「セールスフォース」や海外のマーケティングオートメーションツールなどを活用して構築・運営するデジタルマーケティング担当者が、同社の発展のカギを握っている。