「今までやっていたスノボが格段に楽しくなった」という反響
画期的なアウトドアスポーツ・グループトークテクノロジー「BONX Grip」(ボンクス)をリリースしている、株式会社BONX。スノボやスキー、自転車、フィッシング、山歩きなど、グループで楽しむアウトドアスポーツ/レジャーというシーンで、離れた場所にいても仲間同士で自在にコミュニケーションが取れる新しいウェアラブルデバイスの開発に取り組んでいるベンチャーである。
「BONX Grip」は、スピーカーとマイクロフォンを内蔵した耳かけ式のウェアラブルデバイスと、スマートフォンのアプリで構成される。独自開発の音声データ通信システムと音声認識技術(VAD)の発話機能により、運動中の激しい動きの中でも、フリーハンドでデバイスからの通信を開始して会話を始めることができる。話が途絶えれば自動的に通信は切れる。このため、バッテリーや通信量は節約できる。デバイス間の通話はVoIPを用い、携帯電話のデータ通信を使ってやり取りする形式。したがって互いの距離は通話能力に関係なく、同時通話も可能だ。最大10人まで登録できる機能も備えているので、グループでの遊びの楽しさを倍加させることができる。
また、ウェアラブルデバイスは激しく転ぶなどしても耳から外れず、かつ長時間装着していても痛くならない形状を追求(特許・意匠権申請中)。3サイズの装着パーツが付属しているので、様々な耳にフィットする。4色のカラーバリエーションから選ぶことができる。
アウトドアでの使用を前提として開発にこだわったのが、電波状況の変化への対応性能だ。電波が弱くても切断されにくく、かつ圏外に出て切断されても圏内に戻れば自動的に復帰できる独自の通信プロトコルを開発した。
2016年11月に発売してから現在、スノーボードのみでなく、ファンライドや釣り、またビジネスの場においても「BONX Grip」が活躍している。
「一番うれしいのは、まさにこのために開発したという、『今までやっていたスノボが格段に楽しくなった』というコメントです。また、『妻がホテルに帰った後も一人滑りながら妻と会話できて楽しかった』というコメントもありました(笑)」とCEOの宮坂貴大氏は顔をほころばせる。
2018年夏にはアメリカ・カリフォルニア州を拠点にNorth Americaチームを結成。国内外とも、スポーツショップやオンラインストアで続々と販売を開始している。
世界中にファンのコミュニティができるような会社を目指す
「学生時代から自分でビジネスを手がけたいと考えていた」という宮坂氏は、東京大学卒業後に、ビジネスを学ぶことも兼ねて外資系コンサルティング大手のボストン・コンサルティング・グループ(BCG)に入社。「厳しく鍛えられた」という。そして、“世界一多彩なカメラ”といわれるアクションカメラメーカー「GoPro」の創業ストーリーに感銘を受け、ロールモデルとする。そんな宮坂氏は、以前からスノーボードやスケートボードが大好きだった。ある時、いつものように友人と出掛けた白馬のスキー場で、偶然にもGoPro本社の社員と知り合い、一緒にスノボを楽しむ機会を得ることができたという。
「運命的な偶然でした。そこでGoProの人といろいろ話ができたことが契機となって、『BONX』のアイデアが浮かんだのです」
宮坂氏は以前、仲間とスノボを楽しんでいる時に離れ離れとなり、連絡を取るのに辟易とした経験があった。
「スマホを取り出して電話をしようとしたのですが、雪原の環境でグローブを外してスマホを取り出し、電話を立ち上げるのが大仕事だったのです。その強い原体験がベースにありましたね」
文系出身の宮坂氏は、製品開発のため、同じ東大→BCGの仲間であった現CTOの楢崎雄太氏を誘い入れた。楢崎氏は、東京大学大学院で音声処理の研究に従事し、その後BCGに転じたというキャリアの持ち主である。
開発資金を得るため、宮坂氏は「BONX」の仕様やビジネスプランを企画書にまとめて独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に助成金を申請、採択される。また、クラウドファンディングを募集したところ、こうしたガジェットの開発としては当時国内最高金額の約2,500万円を集めて話題となった。さらにVCからも出資を得ることに成功する。
こうして、2014年11月の会社設立後、1年ほどで「BONX」を完成させた。
将来ビジョンについて、宮坂氏は次のように話す。
「まずは『BONX』を成功させることに全力で取り組みますが、それとともに同様のコンセプトでいくつかのバリエーション製品を出していきたいと考えています。また『BONX』はIoTでもあるので、通話データが蓄積したところで、何かに活用していきたいとも考えています」
目指すは、世界中に「BONX」ファンのコミュニティができるような会社。
「まずは、社員が最高のファンとして、働いていて楽しい会社にしていきたいと思っています」と宮坂氏は強調する。
「最高の遊び道具を真剣につくる」社風。遊びも家族との時間も大切に
2018年10月現在、社員数は役員含め24名。経営層以外は、ハードウエア系およびソフトウェア系のエンジニアをはじめ、セールス&
マーケット、バックオフィス、CSS、インターンが在籍している。
「それぞれの領域におけるプロフェッショナルとして全面的に信頼し、仕事を任せています」と宮坂氏。時間の制約はミーティングぐらいで、あとは自由だ。副業をしても構わないという。コミュニケーションには、SlackやGitHubも活用している。
BCG仕込みの厳しさと、そもそもストイックなメンバーが集まっている同社。社風としては、「最高の遊び道具を真剣につくるという雰囲気。仕事の姿勢はストイックそのもので、決して妥協はしない」と宮坂氏は言う。一方、遊ぶ時間も同様に大切にしている。
「『BONX』の実地検証を兼ねて、みんなで山によく行きますね。それができるのも、こうした製品を手がけているメリットでしょうか(笑)」
本社があるのは、東京・世田谷の駒沢公園のすぐ近く。そこを選んだのは、同公園にはプロスケーターも来るスケートパークがあるからだ。
「仕事中も、隙間時間に滑りに行けます。当社のサーバーエンジニアは珍しくスケボーの愛好者です」と宮坂氏は笑う。家族との時間も大切に考えていることも含め、ワークライフ・バランスは非常に重視しているといえる。
そんな同社が求める人材の要件は、「プロフェッショナリズム」「イノベーター」「チームプレイヤー」「遊び心のある発想力」「フィジカルな遊びが好き」といった要素。遊びを真剣に楽しみたいという思いが、仕事の質を高めることに繋がる同社。価値観を共有する人は見逃せない募集といえるだろう。
株式会社 BONXの社員の声

40代前半
2015年10月入社
自分の業務範囲に...続きを読む

30代後半
2016年04月入社

30代前半
2015年01月入社