株式会社エルメック

メーカーの製造技術に欠かせないのが、製品のクオリティを支える計測システムである。世界で初めてパソコンによる工業計測システムを作った株式会社エルメックは、日本メーカーの技術革新を約30年以上にわたり支えてきた。モノづくりの国・日本の影の立役者というべき存在である。

同社では時代のニーズに合わせて、超高速・大容量計測ができる外部DMA型A/Dコンバータ、FFT・1/3オクターブ、ウェーブレット解析パッケージなどを次々に開発。動車エンジン組立ラインの各種検査装置をメインに、生体信号の解析ソフトウェア、新素材研究、音響振動解析など、計測・解析・判定・制御に関する製品を手掛けてきた。

そして商品を販売するだけでなく、振動と音響の計測・解析のスペシャリストとして、顧客の課題に応じて計測・解析を行いあらゆる問題解決にあたる。小回りの効くサポート力もあり、国内外を問わず積極的に対応。“計測のよろず相談所”として高い評価を得ている。

そんな同社が設立されたのは、IBMでさえパソコンを作っていなかった1970年代である。もちろんパソコン計測システムも存在していない。当時のパソコンはおもちゃの延長線上にあり、工業用には使えないと言うのが定評だった。

だが生粋の技術者である創業者の平野氏は、誰も考えてなかったパソコンでの計測システムの製造に挑戦した。「パソコンと言ってもコンピュータはコンピュータ。必要な全ての機能は備えている。使用している電気部品等の品質が問題なだけだ」。そんな合言葉のもと同社のエンジニアたちは、工業用に耐えられるように電源に放熱板を付けるなどして徹底的に改造。いくつもの難関を乗り越えて徹夜を重ね、連続運転に耐えるパソコンをついに作り上げた。世界で初めてとなる工業用パーソナルコンピュータシステムの誕生である。

高価 なミニコンのシステムでもやっとできるようなことを、おもちゃだと言われていたパソコンTRSで作り上げたことは業界からも、離れ業だと注目されたという。工業用品の計測は長い間人の聴覚にたよっていたが、エルメックの新技術によってコンピュータによる分散処理システムの時代が幕を開けたのである。

そして同社は現在まで、2000以上のパソコン計測システムを世に送り出してきた。そのベンチャースピリットは今でも受け継がれており、少数精鋭のエンジニア集団として計測業界のトップを走り続けている。

小型回転部品等の音や振動を自動化させるエルメックの新技術は圧倒的なコストパフォーマンスのよさを実現し、多くの製造業が注目した。同社は自動車エンジン組立ラインに設置する自動車部品の検査装置を中心に実績を重ね、急成長を遂げてきた。現在では、蓄積されたノウハウをいかして、道路保守メンテナンス用システム、コンテナ荷物の異常検査システム、心電図のウェーブレット解析を用いた検査診断システムなど、自動車、電力、家電、飲食、医療分野などの分野にも進出している。そのため顧客は大手自動車メーカーをはじめとする自動車製造関連会社、家電メーカー、飲食店、大学病院など幅広いのも特徴だ。

同社の魅力は技術力だけではない。開発を支えてきたのは、創業以来変わらないエンジニアとしてのこだわりである。顧客の声からもその職人魂がひしひしと伝わってくる。

「計測器の不具合があった時、依頼していないのにエルメックのエンジニアはその場に留まり、日付が変わるまで作業を続けてくれました。そんな業者はこれまでいなかったので、その職人魂に衝撃を受けました。そのことをきっかけに9年ものお付き合いが続いています。また外注に出した制御ボックスが動かなかった時、“こんなのはダメだ、うちの責任だから無償で全部やり直します”と言ってくれたこともありましたね。とにかくプロ意識が高い。僕はエルメックのエンジニアたちから本当に多くの事を教えてもらいました。彼らがいたから、今の自分があると思っています」（自動車部品メーカー担当者）。

そして難易度が高い仕事に取り組むのもエルメック流だ。他社がやりたがらない新しい分野・新技術からの案件にも、どんどん挑戦していく。たとえば医療分野においては、10年以上かけてウェーブレットという最新の手法を用いた心電図解析のソフトを完成させた。

「私がエルメック社平野社長とウェーブレットによる心電図解析の開発を始めたのは1990年代後半でした。それから10数年。オリジナルのソフトが完成したのは2003年のことです。エルメック製のソフトが素晴らしいのは、解析範囲が他メーカーより広いことです。心電図解析を今まで以上に深く読めるため、医療分野でまだ解明されていない部分を明らかにしてくれる可能性を持っています」（昭和大学内科元准教授　堤医師）。

世界の医療の発展には、エルメックのような優れた技術と提案力を持つ企業の協力が不可欠という堤医師。挑戦を好むエンジニアスピリットが、世界の計測の可能性を切り拓いていく。同社ではそんな未来をともに歩んでいける仲間を求めている。

代表自ら「根っからのベンチャー企業」と評するエルメックは、社員数20数名のエンジニア集団である。少数精鋭で高効率・高利益を目指しているため、社員一人ひとりへ求められる能力も高い。だが世界を舞台に最先端の環境で活躍したい、そんな気概を持つエンジニアにとって、エルメックは最高の舞台である。

まず大手企業をはじめとする既存顧客からの指名引き合いが多い。そのため常に最先端の大型プロジェクトにかかわることができる。主業務では月間数万台におよぶ自動車の出荷検査にかかわることになるという。そのほか、道路の保守メンテナンス業務へのAIの提供、ヒトの心臓データの解析など複数のプロジェクトにも挑戦できるためやりがいは十分にある。

また世界中にルートセールスのような営業スタイルが確立されているため、ワールドワイドに活躍できる。「海外取引を前提として、国内外へのシステム提案から設置・調整まで一貫した業務を行っていただきます。もちろん欧米、アジア各国などへの海外出張もあります」（採用担当者）。コミュニケーションツールとして英語やプログラミング言語が必要だが、スキルや経験に応じた業務を担当するため心配は不要だ。

「求めているのは、お客様の要求をくみ取り、自分で仕様を考えて実行できる方です。そのためコミュニケーションスキルは大変重要です。プログラム言語以上に日本語が得意な方を歓迎します」（採用担当者）。また、“創意工夫を忘れない、あきらめない”というのもエルメックが培ってきた社風である。どんな壁にぶつかっても任務を全うできるプロ意識の高さも求められる能力の一つだ。「業務拡大中なので中途入社でもチャンスはたくさんあります。挑戦を好む風土が根付いているので、自ら提案して動ける環境があります。真剣に転職を考えている方をぜひお待ちしています」（代表取締役　平野氏）。

世界初の技術を生み出したエンジニア集団・エルメック。大型案件やワールドワイドな仕事は新たなキャリアを磨いてくれるだろう。だがそれ以上に世界初の技術を生み出した“エンジニアの精神”にふれることができるのが、この会社の一番の魅力かもしれない。