「これからはモバイルの時代」と確信し、ソーシャルゲームに転進。
戦略豊かな“タクティカルメダルバトル”の『ラストサマナー』や“リアルタイムバトル”で人気のソーシャルゲーム『ドラゴンハーツ』シリーズなどを企画・制作し、
『Mobage』『DMMゲームス』の主要プラットフォームに配信している株式会社スマイルマスター。社名の由来について、同社を創業した神﨑氏は次のように言う。
「私は4社のゲーム会社を経験しましたが、自分が楽しめずに仕事をしている人をたくさん見てきました。しかし、エンターテインメントコンテンツづくりにかかわるプロフェッショナルは、まず自らがそのコンテンツを誰よりも楽しみ、自然に笑顔がこぼれるような日々を過ごすべきではないかと思うのです。そうでなければ、人を楽しませることなどできません。テーマパークでぬいぐるみを着ている人が裏で泣いていたら残念じゃないですか。ですから、人を笑顔にする職人になろうとの思いをこの社名に込めたのです」(神﨑氏)。
神﨑氏が同社を創業するまでの経緯は次のとおりだ。
元々、コンシューマーゲーム会社で広報営業に携わっていた神﨑氏は、その仕事がエンドユーザーではなく小売店への働きかけに終始することに疑問を抱いていた。コンシューマーゲームは小売店が返品することができないので、営業担当者の役割は店頭での販売促進策を考えるなど、いかに小売店に仕入れてもらうかに尽きるからである。
「開発現場はエンドユーザーにゲームの魅力を知ってもらいたいと思っているのに、その思いを直接エンドユーザーに届けることができないところに歯がゆさを感じていました」(神﨑氏)。
そう打ち明ける神﨑氏は、ゲームメーカーが直接エンドユーザーにコンタクトできるオンラインゲームに着目。ある会社にマーケティング部長として転じた後、自分によりフィットする環境を求めて同業を2社経験する。4社目に転じた頃の2009年秋、『Mobage』がオープンプラットフォーム化して『怪盗ロワイヤル』などのヒット作品が出始めた。またその前年に発売された「iPhone 3G」が爆発的に売れ始めてもいた。
「これからはモバイルの時代、と確信しました。しかし、モバイルコンテンツには深く関わってこなかったので、まずは勉強しようと3人ぐらいの仲間を集めて勉強会を立ち上げました」(神﨑氏)。
全員で様々なゲームをやり、毎週のように集まって感想やアイデアなどを言い合うといった趣旨の勉強会であったが、そのうちに「ならば自分たちで企画してみよう」という流れになった。そこで考えた企画が『ドラゴンハーツ』の原型となったのである。
「私含め、そのメンバー3人で『ドラゴンハーツ』を世に問うべく、2010年10月、スマイルマイスターを立ち上げました」と神﨑氏は振り返る。
ガチンコ勝負の“リアルタイムバトル”が最大の魅力!
第1弾の『ドラゴンハーツ』は2011年7月に『GREE』、同12月に『Mobage』、翌2012年5月に『mixi』に配信開始(現在はサービス停止)。第2弾の『ドラゴンハーツ2』は2012年9月に『GREE』に配信開始(現在はサービス停止)。そして同シリーズ最大の好評作となった『ドラゴンハーツ-覇王の紋章-』は、2013年1月、『Mobage』でリリースされた。そして最新作は、2013年11月にリリースされた『ドラゴンハーツ-暁の竜騎士-』である。
『ドラゴンハーツ』は、シリーズでの総登録ユーザー数は約30万人に上り、その大半は第1弾からプレイをしているユーザーだ。その好評の要因について、神﨑氏は次のように説明する。
「本シリーズの特徴は、我々が長らくオンラインゲームで培ったその特徴をソーシャルゲームに生かしたところにあります。まず、オンラインゲームではコミュニティの要素が強いのですが、その基本形であるPvP(Player vs Player)から、GvG(Guild vs Guild)という20人ぐらいずつの団体同士、そしてRvR(Realm vs Realm)という国家同士の対戦に発展してく機能がダイナミックだと思います。また、数多くのアバターや職業を用意することで、自分だけのキャラクターを作り出せるようにしています」。
そして、何よりの魅力となっているのが“リアルタイムバトル”というコンセプトのゲーム構造である。
「カードゲームは、ボタンを押した瞬間に対戦結果が出てしまいます。その間の戦いの流れは一切省かれてしまっているんですね。
それに対して“リアルタイムバトル”はまさにその瞬間のガチンコ勝負で、その時々の操作によって戦況がどんどん変わるんです。
せっかくオンラインで遊ぶのであれば、ボタンを押したら終わりのゲームではなく、誰かとリンクする面白さを提供したいと考えています」。
同社はRPG系のゲームなどを受託でも開発しているが、オリジナルゲームは当面バトル領域に特化して突き詰めていく予定だ。
「ネイティブゲームはブラウザゲームと異なり、様々なチャレンジができるので、次はネイティブでチャレンジする予定です」と神﨑氏は力を込める。
最大級のやりがいがあるゲームプロデューサーを目指せる環境!
現在、同社の社員は神﨑氏のほかにプランナー7人、プログラマー6人、デザイナー6人の計19人。それ以外に多くの派遣SEを受け入れている。
「社員に対しては、プログラマーもデザイナーもできれば最終的にゲームプロデューサーを目指してほしいと思っています。もちろん強制ではなく、あくまでも本人の希望を尊重しますが。せっかくゲーム会社に入ったならば、自分が遊びたいゲームをつくり、それを売ることまで責任もって手がけることが大きなやりがいになると思うからです」と神﨑氏は説明する。
自分がつくりたいゲームを企画し、事業計画を立て、チームをアサインして制作し、プロモーションを考え、リリース後の運用まですべての工程を貫通して手がけることは、ゲームビジネスに携わる者として最大級のやりがいがもたらされるに違いない。そういった存在を目指す人には、またとない会社といえるはずだ。もちろん、「生涯一デザイナー」「生涯一プログラマー」といったキャリアビジョンの人も活躍できる業務分野は用意されている。
同社の勤務時間は基本10~19時であるが、8~17時でも、12~21時でもその日の都合に応じてフレキシブルに変えることができる。
「野球やサッカーの試合を観に行く、映画を観に行くなど、ほかのエンタメにも接してほしいからです。19時に会社を出て野球場に行っても途中から試合は観られるかもしれませんが、試合前のセレモニーなどもエンタメの要素。そういう細かい部分も学んでほしいのです」と神﨑氏は狙いを説明する。それだけでなく、「納期遵守など業務を責任もって遂行するという前提で、必要であれば勤務時間中に映画を観に行くことも構わないと考えている」と言う。
そんな同社が求める人材は、まず何といっても「ゲームが好き」という人。神﨑氏は次のように言う。
「自分のライフスタイルにゲームが入っていないと、この世界で大成するのは難しいと思います。日常生活の中にヒントが隠されていることってすごく多いんです。
例えば子供と遊んでいるときや、本を読んでいるとき。電車に乗って何気なく吊り広告を見たときにもゲームに繋がるヒントを得ることがあったりします。
そのヒントに気付くためには、何かしらのかたちで常にゲームを意識している必要があると思います。そういう方と一緒にゲームが作りたいです」。
そうした上で、「ユーザー思考でものづくりができる人」「クオリティーを高めるために惜しまない努力ができる人」「いかなる状況においても最後までやり遂げる強い責任感を持っている人」「チームワークを大事にできる人」であることが必要だ。
「月に1回は、メンバーでフランクな飲み会を行っています。社内のコミュニケーションを活発にして、とにかく皆が楽しく仕事できる環境をつくっていきたいと思っています。ぜひ、一緒にやりましょう」と神﨑氏は呼びかける。
社内には大型のテレビを設置し、ゲームをしたり映画も見る予定だ。