クライアントは大手モバイルゲーム会社が中心。世界でも珍しいクラウドソーシングクリエイティブスタジオで急成長中。
2011年に設立された株式会社MUGENUPは、世界中のイラストレーター、3DCGクリエーターをつなぐクラウドソーシングプラットフォーム事業で急成長のベンチャー企業だ。同社は様々な得意分野をもつクリエーターをネットワーク化し、プロジェクトごとにクラウド上でチームを組み、分業制でイラストを制作するという仕組みを提供している。
最大の特徴は、制作のプロセスを「キャラクターデザイン」、「線画」、「塗り」、「背景」などの工程に細分化し、完全分業体制で制作を行っている点。イラストレーターの仕事をシングルタスク化することで、大量のイラストを短期間で制作できるとともに、同社のアートディレクターをプロジェクトの中心に据えることで高品質なイラストを提供することが可能となっている。
現在登録しているクリエーターは全世界で40,000名以上。大手モバイルゲーム会社向けのゲームイラスト、3DCG制作を中心に多数の実績を積み重ねており、業界内でも高い注目を浴びている。
クラウド上で複数のイラストレーターが分業しながらイラストを制作するという世界でもユニークなプラットフォーム事業を立ち上げたきっかけについて、代表の伊藤氏は次のように語る。
「実は会社設立当初はモバイルゲームの開発を行っていました。開発にあたってイラストレーターの方にイラスト制作をお願いしていたのですが、ゲームの開発が終わっても肝心のイラストがなかなか仕上がってこない。『これはなんとかしなくては』と思い、まずその方にイラストの制作工程を見せてもらいました。すると『塗り』の作業にとても時間がかかっていることがわかったのです。
このままではいつまでたってもリリースできないので、『キャラクターデザイン』と『線画』のみをその方にお願いし、『背景』と『塗り』の作業は別の方に依頼するという分業体制を組むことにしました。すると劇的に作業効率があがり、進捗状況についてもより明確に把握できるようになりました。
クオリティの高いイラストを効率的に制作できる仕組みを『クラウドソーシングシステム』として提供すれば、クリエイティブ業界に大きなインパクトを与えられるのではないか、と思い、インキュベートファンドの方ともディスカッションを重ね、ビジネスモデルを検討した結果、本格的に事業として立ち上げることになりました」(伊藤氏)。
ここ数年モバイルゲームが爆発的人気を得る中、いかに多くのゲームを低コストで開発するかがゲーム開発会社にとっての重要な経営課題となっている。短納期、大量生産のクリエイティブ制作を実現できる同社のサービスは、立ち上げと同時に業界内でも話題を呼び、問い合わせが後を絶たないという。2012年9月には大きな資金調達も完了。世界のイラスト制作に新風を吹き込むべく、同社は新たなステージへの一歩を踏み出したところである。
2009年度未踏ユースエンジニア
2011年弊社創業時に入社。取締役 CTOを経て2015年に代表取締役CEO就任。
世界中のクリエイターをネットワーク化し、雇用を創出する!
「当社はプロジェクト内容を一般には公開していません。まず当社がお客様から依頼を受け、担当のアートディレクターが細かくヒアリングを行います。その後、制作工程を複数のプロセスに細分化し、適切なクリエーターを選抜して分業体制を整えます。
スケジュール管理については制作進行担当者が統括し、品質についてはアートディレクターが徹底して管理します。お客様にとっても非常にわかりやすいワークプロセスを提供するとともに、微妙なニュアンスまで明確にディレクションすることで、満足度の高い品質でのコンテンツの納品が可能となっています」(伊藤氏)。
作品の世界観を客観的に解釈し、クリエーター個人の感性やコンディションに左右されない安定した制作を実現するノウハウこそが、同社の大きな競争力となっているのだ。
一方、同社のクラウドソーシングプラットフォームの価値は、クライアントに対してクオリティの高い作品をスピーディーに安定供給できるというだけではない。「クリエーターの雇用を創出する」という大きな社会的価値も提供しているのだ。
「当社は『クリエイターの働き方をもっと自由に、もっと楽しく』という理念を掲げています。これまでモバイルゲーム開発に携わる中で、デザイナーやイラストレーターが不足している反面、デザインやイラストの仕事で生活していくことができないクリエイターが沢山いることも知りました。
センスや感性が問われるクリエイティブ業界は仕事のマッチングが非常に難しい業界です。イラストやデザインのトレンドが数カ月単位で大きく変化する中、デザイナーやイラストレーターを正社員として採用することをリスクと考える企業も少なくはありません。しかし、当社のプラットフォームに参画してもらえば、分業工程の中から得意な分野を見つけて活躍して頂くことができるのです。
得意分野で仕事を続けることで不得意分野を解消できた方、多くのクリエイターと協業する中でスキルを伸ばしている方も沢山いらっしゃいます。当社の仕事で実力をつけ、独立していくというキャリアパスも十分に考えられます」(伊藤氏)。
同社のプロジェクトに参画しているクリエーターの最高齢は63歳。元々大手メーカーの工業デザイナーだった人物が、ゲームキャラクターの線画を担当しているという。これも制作を分業化しているからこそ出来ることである。
時間も場所も関係なく、また1人で全て完成することができなくても、特定のスキルがあればいくらでも活躍のチャンスがある。クリエイティブ業界における雇用の創出という面でも、同社のサービスは高い評価を受けているのだ。
求めるのは「世界No.1のサービスを本気で創りたいと思える人」。
これまで培ったイラストレーション制作ノウハウを元に、専門学校などの教育機関と提携しながら、新しい時代を担うクリエーターの育成活動も積極的に進めている同社。
「現在、イラストレーター向けの教育コンテンツを美術学校などに提供しています。私自身もよく講義に訪れ、若手クリエイターの方と交流する機会を多く設けています。教育現場では、トレンドを理解するというよりは自分の芸術性を高めるにはどうするかというテーマが重視されがちです。もちろん芸術性も大事ですが、自分の力で生活していけるクリエイターを育成するためには、『こういう絵を描くと仕事に繋がるんだ』ということを若いうちに体験してもらいたいな、と思います。
イラストを仕事にしたい人がこれだけ沢山いて、イラストレーターのニーズも沢山あるのに、上手くそこに入り込めない人が沢山いる。この間をつなぐハブのような存在になって、クリエイティブ業界を盛り上げ、一人でも多くのクリエイターが好きなことで生活できる社会を作ることができたら嬉しいな、と思っています」(伊藤氏)。
今後は生産管理システムやサービスデザインの改善に力を入れ、クリエイターにとってより満足度の高いプラットフォームの構築を実現していきたいという同社。
「クリエイターがよりクリエイティブな活動ができるような環境を整え、世界中のクリエイターを巻き込んで世界中に良質のコンテンツを発信していけるようなサービスを作りたい」と伊藤氏は熱く語る。
今後は国内の拠点も増やし、海外にも本格的に進出していきたいと考えている同社。活躍の場は大きく広がっている。
最後に伊藤氏に求職者に向けてのメッセージをもらった。
「ジャパンコンテンツの人気はまだまだ健在で、ゲームイラストやサブカルチャーは海外にも多くのファンがいます。イラスト制作は日本が世界に誇ることができる大きな強みです。この事業で日本一になれれば、必ず世界一になれると思っています。『世界一のサービスを作りたい』と本気で思える方と一緒に頑張っていきたいと思います。
世界に誇れるサービスを作り、『ドヤ顔をしたい!』という方の参画をお待ちしています!」(伊藤氏)。
株式会社 MUGENUPの社員の声

30代後半
2013年01月入社

30代後半
2015年07月入社
アート制作会社としてクリエイティブ...続きを読む

20代後半
2015年08月入社
同僚ADや多くのイラ...続きを読む