住友スリーエム 株式会社
高利益体質を支える外資的経営手法とアイデアの芽を摘まない技術志向
<ポスト・イット>ノート、<スコッチ・ブライト>キッチンたわしだけではない。生活のあらゆる場面で使われている製品群
住友スリーエム株式会社は、1960年、米国の3M社と住友電気工業株式会社らとの合弁会社として設立された。
3M社は、60カ国以上に現地法人を持つ。2006年度のグローバルの売上高229億ドルのうち海外での売上が61%を占めていることからも、グローバルな展開力を持っているということがわかるだろう。中でも、日本のオペレーションの主体である住友スリーエムは、全売上の1割を占め、米国を除いた現地法人の中では世界最大である。
<ポスト・イット>ノートや<スコッチ>テープ、あるいは、DIY向けアイテム、家庭用キッチンたわしなどといった、コンシューマー製品は、誰もが使用したことがあるものだ。しかし、これらの製品を知っていても、3Mの一部を知っているとしかいえない。ビジネスを進めている分野を列挙するとその多様さに驚かされる。
電気・電子・電力・通信関連部材、建築・サイン・ディスプレイ関連、ヘルスケア・医療関連、セーフティ・セキュリティ関連、自動車・交通関連部材、研磨剤や接着材といった産業関連。このように幅広い分野でビジネスを進めているのだ。道路にある交通標識、あるいは、すでにインフラとして欠くことが出来なくなっている携帯電話の中にも、3M製品はある。まさしく「3m(メートル)以内に3M(スリーエム)製品」ということがいえるほど、多岐にわたる分野で3M製品は活躍している。
もっとも革新的な技術を連続して生み出す秘密
3Mがグローバルに共有しているビジョンには、
「もっとも革新的な企業となり、お客様から優先的に選択されるサプライヤーとなる」とある。これは、優れた品質、優れた価値をもつ製品を提供し続けることでもある。これを新製品開発の側面において、以下のような独自の基準を設けている。
◆過去4年間に市場導入した新製品の売上を総売上の30%以上にする。
◆過去1年間に市場導入した新製品の売上を総売上の10%以上にする。
◆競争の基盤を変えるような新製品を開発する。
これらを単なるキャッチフレーズとしてではなく、住友スリーエムは実際に継続的にクリアし続けているのだ。これを実現しているのは技術陣、開発担当と技術サービスの連携や、市場の声に耳を傾け続ける活動であり、知識とアイデアをイノベーションに結びつけることによって市場性のある製品を生み出し続けている。また、3M独特の「企業文化」こそが、このような有機的な活動を持続させているといっても過言ではない。代表的な例を挙げてみよう。
技術者には、与えられたテーマとは無関係であっても個人的に興味を持って、社会的に、あるいはビジネスに役立つと思えることの研究に労働時間の15%を使っていいという"不文律"がある。この「15%ルール」から数多くの独創的な製品が誕生している。
また、キリスト教にはモーゼの十戒があるが、3Mには11番目の戒律が存在する。「汝、アイデアを殺すなかれ」、どんなアイデアも大切に着実に支援することこそが、新製品の誕生につながるという考えだ。従って新しいアイデアは、明確な反証材料がない限り、たとえトップマネジメントであっても否定してはならない。
このような独特の企業文化が、イノベーションを促進し、加速させているのだ。
研究開発拠点は世界29カ国にあり、7000人以上の技術者が研究活動を行っている。3Mには、40を超える「テクノロジープラットフォーム(技術基盤)」が存在する。これら技術を派生・分化させることによって、また、複数の技術を活用することで、特徴的な、様々な製品が誕生し、市場で高い評価を受けている。
これらの技術、研究開発の経験、成果や失敗は、3Mでは会社全体の財産であると位置づけられている。つまり、全ての技術者が活用できるようにデータベースなどを通じて共有されており、例え海外であったとしても、アドバイスを求めて直接コンタクトを図ることはごく自然に行われている。ここで専門分野や所属部門を問われることはない。また、技術者たちが自主的に運営している「テクニカルフォーラム」では、相互の技術力向上のための分科会や、全社的な技術展示会を開催するなどの活動を行っている。
働きやすさと研究活動の充実で高い定着率
そんなエキサイティングな研究開発が行われている同社では、人事制度などでも工夫を凝らした先進的なシステムを考案し取組んでいる。社員に対する基本的な考え方として、
◆個人の尊厳と価値を尊重する
◆社員一人ひとりの自発的行動を奨励する
◆各人を自己の可能性に挑戦させる
◆機会を平等に与える
といったことを挙げている。
「3Mの求める人物像は、全職種に渡ってチームワークが必要なため、人とコラボレーションすることがうまく、楽しめる人。自分で考え行動できる人。頻繁に変化が起こるため、既存の価値観や物事にとらわれない人。顧客の課題を見つけ、感じ取る能力がある人。」と、採用担当者は語る。「また、特に技術者は、英語の資料を見る他、海外の技術データベースにアクセスしたり、海外の技術者とのやり取りも発生するため、語学力が必要です。」
また、同社の離職率は3%未満ときわめて低い。これは働きやすさや環境のためであり、社員にとっては様々な業界のビジネスを見ることができるため、社内にキャリアの選択肢が多いからではないかと人事担当者は分析する。
最後に、住友スリーエムとは外資らしい会社なのか、それとも日本的な色の濃い会社なのかと問うた。
「外資系らしくないグローバル企業、といったコトバがマッチするのではないでしょうか。結果は求められるけど、その方法まで細かく指示されることはありません。反面、製品を開発するに当たっては、愚直なまでにお客様の声を意識し続けます。インフォーマルな情報交換から影響を受け、またアイデアが生まれることも多々あります。」
イノベーションを標榜し、これを加速するためのユニークな取り組みからは、「もっとも革新的な企業となり、お客様から優先的に選択されるサプライヤーとなる」というグローバルビジョンをまさに体現している企業、と言えるだろう。
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| 会社名 | 住友スリーエム 株式会社 | ||||||
| 企業の特徴 |
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| 福利厚生 |
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| 資本金 | 189億2927万2320円 | ||||||
| 業績 |
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| 設立年月 | 1961年 12月 | ||||||
| 代表者 | 代表取締役社長 ジェシー・ジー・シン | ||||||
| 事業内容 |
工業用粘着テープ、内外装用装飾フィルム、反射材、研磨材、接着剤、フロア・メンテナンス製品、衣料用耐熱材、フッ素系化学製品、自動車補修製品、電気絶縁材料、電力・通信材料、スポンジたわし、オフィス文具製品、ヘルスケア製品 等の開発製造販売 |
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| 株式公開 | 非上場 | ||||||
| 主要株主 | 3M社(米国)75% 住友電気工業株式会社25% |
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| 関連会社 | (売上高および従業員数はグループ結合です) | ||||||
| ― | |||||||
| 従業員数 | 2928人 | ||||||
| 平均年齢 | ― | ||||||
| 本社所在地 | 東京都 世田谷区玉川台2-33-1 | ||||||
| 交通案内 | 東急田園都市線用賀駅徒歩8分 |

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