社員番号20番。DeNAの急成長を支えたエンジニア。

稲村 直穂子氏

システム統括本部 本部長

Nahoko Inamura
津田塾大学数学科を卒業後、電機メーカーにてUNIX、X-Windows、オブジェクト指向開発の調査研究等に従事した後、SIerでのオープン系システム提案~開発を経て、2000年にDeNAに入社。カスタマーサービス部門、モバイル系サービス担当エンジニアを経験した後、システム統括本部長として、同社のエンジニアのアサインや教育等の戦略を立案、実行している。

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DeNAではたらくエンジニアが、DeNAのエンジニアらしく仕事に取り組める環境づくりをしているのが、自身もSIの経験を経て南場氏とMLでの出会いを機に転職をしてきた稲村氏だ。海外に端を発して日本でも急拡大しているソーシャル分野をはじめ、業界がダイナミックに動く中、国内外を視野に含めてエンジニアたちが成長していくための戦略を練り続けている。

取材・文/渡邉昌資/佐藤ゆき恵 2010年2月17日

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稲村さんは、社員番号が20番と、かなり早い時期からDeNAに参画されたそうですね。入社から10年、御社にとっては急成長の時期に、エンジニアとしてはどのように仕事をしてきたのですか。

アジャイル開発に没頭する日々

DeNAとして初めてのモバイル事業である「モバオク」の立ち上げは、ビジネス戦略・サービス企画、マーケティング・編集、エンジニア、カスタマーサポート各々1名ずつで走り出しました。立ち上げ後のシステム体制も、現在は取締役となった川崎を中心に、途中からインフラ・ミドルウェア系のエンジニアと、プログラミングを手伝いながらカスタマーサポートを担当した私の3人という時代が結構長かったです。ユーザ数や出品数、取引数といったサイトの規模拡大に対して非常に少ないメンバーですが、それが動きやすさをキープしていました。みんなで言いたいことを言い合って、良いと思ったらすぐに取り掛かる。まさにアジャイル的な環境で仕事をしていました。

当時は人数も少なかったですから、機器類の発注から始まって、データセンターでのセットアップや運用監視対応といったインフラ作業、モバオク本体や運用業務システムの企画開発、保守メンテなどサービス側にいたるまで全て自分で考えて動いていました。そうして作ったものをリリースして、ユーザに受け入れられたのを見届けた時は、達成感で満たされました。みんながやる気に満ちて前向きに仕事をしているのは10年目を迎えた今でもあまり変わっていなくて、メンバーから触発される日々です。

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昔からアジャイル開発をされていたのですね。

ウォーターフォール型からアジャイル型へのシフト

創業期からスタートしている「ビッダーズ」はステークホルダーが多くプロジェクトを進めていくにあたっては、ウォーターフォール型を採用してきていました。モバオク開発を機にその後、次々に新しいサービスを展開していくにあたって、徐々にアジャイル型にシフトしてきて、エンジニア達も次第に慣れていきました。最近では、サービスで重要視するポイントに応じ組み分けていますが、多くのプロセスに複数のイタレーションが存在することにはかわりありません。

現在の稲村さんは、各事業部に所属するエンジニアを一括して管理し、アサインや育成などを行なっているそうですね。

DeNAのエンジニアらしくはたらける環境を作る

はい。私が本部長を務めているシステム統括本部では、モバゲー、EC、広告等それぞれの事業本部が提供するサービスに関して、エンジニアのアサイン、システムの品質管理、インフラ性能のコントロールやコスト管理など、システム周辺の戦略立案と実行を担当しています。

インフラエンジニア、社内情報システム担当エンジニア、QA(品質保証)、カスタマーサポートの4グループから成り立っています。また、川崎を中心に新しいサービスを考え創り上げるチームもあります。

私の役割は、エンジニアのパワーが最大化される環境を考え、構築することです。当社のエンジニアにとっては、決められたものを作るだけではなく、何を作るかを自分で決めるところからが仕事です。そういったはたらき方がうまくできるように、教育し、適切な仕事にアサインし、適性にあったキャリアパスを描かせていきます。

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キャリアパスとしてはどのようなものがありますか。

大きく広がるエンジニアのキャリアパス

大きく分けて4種類のキャリアパスを用意しています。
一つが、サービスを成功させるために自ら考えながら技術を駆使する「サービスリード」です。新人が入ったら、多くはまずそこを目指してのスタートとなります。彼らには「何を作りたいのか」、「なぜそれを作るのか」を徹底的に考えさせます。決められたものを正しく作るだけでは、コーダーの域を越えません。サービスをどう成長させていくかという視点を常に持つのが、当社のエンジニアの特徴です。

その一方で「エキスパート」という道もあります。例えば、モバゲーのアクセス数はこの数ヶ月で倍以上に成長していますが、単にスペックの高いサーバに置き換えるとか、回線を太くするといった施策では時間やコストがいくらあっても足りません。技術的な視点から、それをどう解決するかを突き詰め、自らのアイデアを実装・評価し技術力でもって立ち向かうのがエキスパートです。エキスパートになるには、自分の強みとなる技術において、なるべく早くまず会社の中で一番になること。また、そういうことができる仕事をアサインします。

さらに、「マネジメント」があります。いわゆるプロジェクトマネジャーとして、調整、タスクやスケジュール管理を円滑に進めていくこと。またシステム組織のマネージャーとしては、メンバー個々の課題達成と組織全体の目標達成両立に向けたリーダーシップが不可欠です。当社の場合、マネージャーであっても環境整備を自ら受け持ったり、逆にここぞというときに助っ人に入ったり手を動かすこともしばしばです。最前線の現場感覚を重んじることは、組織の機動力や柔軟性を向上させるための一つの解だと考えています。

最後のひとつが、「ビジネス」職です。エンジニア出身者がビジネスオーナーになることを、当社は大いに歓迎しています。サービスリードと違う点は、ビジネス職の方がより大きな視点でサービスカテゴリー全体の戦略を立て、実行していくことです。サービスリードは、そのサービスの中のそれぞれ独立した機能やサービスを自分の責任において組み立てていく役割ということになります。たとえば「モバゲータウン」といったサービスのコンセプトや全体を指揮するのがビジネス職で、それぞれのゲームを作るのがサービスリードということになります。

これから当社は世界に出て行きたいと考えていますので、これらのエンジニアのキャリアパスはもっと多様化していくと考えています。全員に色々な経験をしてほしいし、一つでも多くのスキルを身につけてほしい。そのために、やれることはもっとたくさんあると考えています。

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御社のエンジニア像は、他とは明らかに違うように感じます。

「エンジニアの数だけサービスができる」という理想が現実化

自分の言葉でサービスを語り、すべてを見ることができるのが当社のエンジニアです。ひとりが企画開発から運用まで全部見るというのが標準型なのです。このようなあり方が、最近のオープンプラットフォーム化やソーシャルアプリ開発などで特に力を発揮していると感じます。つまり、エンジニアの数だけサービスができる、という理想が現実化しつつあるということです。

何でも自分達で解決していける、彼らの「技術」は「武器」です。すぐにきれいなコードが書ける、書き換えられるという基本スキルが、ビジネスアイデアと合わさったとき、大きな価値を発揮します。

仕事以外の面で技術レベルアップのために取り組んでいることはありますか。

海外の学会に参加も可能

DeNA主催の勉強会を開いて、外のエンジニアを呼んだり、他社に呼ばれてプレゼンしたりといった交流のほか、社内の情報交流会などもやっています。また、学会への参加もありますね。半年に一回、好きな国際学会に希望を出すことができて、選考に通ると派遣されます。帰国したら社内にフィードバックします。ちょうどアメリカでソーシャルゲームが流行し出した頃に行った者がすぐさま企画に反映したという成功事例もありますので、定期的に海外で情報収集をすることは大切だと考えています。

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海外展開に対してはどのようにお考えですか。

「変わり続ける」ことが大きな力になる

シリコンバレーへの憧れを持ち、海外での仕事を経験したいというエンジニアは多いです。既に、新卒2年目がアメリカ西海岸や中国に渡っています。また、アメリカや中国など外国人のエンジニアの能力にも目を向けるべきだと考えています。

国内外の選択肢も含めると、エンジニアのキャリアの可能性はさらに広がっていきます。一つ目の課題を達成できた人には次の少し大きな仕事をアサインするという単純明快なルールがありますが、新たな企画が上がったときに、国内海外問わず推薦したいエンジニアが山ほどいる状況にしていきたいですね。

当社は、これからも毎日変化していきます。特にこの一年で、業界は大きく変わりました。ソーシャルアプリなど、面白い動きがたくさん出てきています。そういう中で、視野を広く持ち、会社全体で「変わり続ける」ことを決意しています。変わることで、会社に大きな力がついてくるのですから。

エンジニアの皆さんにメッセージをお願いします。

潜在能力を掘り起こせる場所

SIerやメーカーでの経験をお持ちの方が多いと思います。これまで積み重ねられてきた技術以外にも、たまたま未開拓な潜在能力がきっとあります。身の回りのエンジニアという枠にとらわれずチャレンジしてみたければ、当社はそれが確実にできる会社だと思います。

取材後記

稲村氏の話からは、DeNAという会社がその時に状況に合わせて柔軟に開発体制を変化させ、最適な環境を創り出してきた様子を知ることができた。エンジニアのキャリアパスもそれぞれの志向性に合わせて複数用意されており、いずれの道でも一流になれる環境が整う。そして今後もグローバル化が本格的に進むにつれて、体制や制度、環境はより魅力的なものへと進化していくだろう。DeNAという会社には自らの能力を最大限に引き出す場を求めるエンジニアを満足させられるフィールドが広がっているのかもしれない。

 

南場智子 代表取締役社長

株式会社 ディー・エヌ・エー(DeNA)

新しい価値と感動を提供するために、挑戦し続けるプロフェッショナル集団

2007年12月には東証一部上場を果たし、モバイル業界におけるリーディングカンパニーとして新たな価値を社会に提供し続けている株式会社ディー・エヌ・エー。 特に、「モバゲータウン」「モバオク」をはじめとしたモバイル関連サービスは、携帯電話のユーザーニーズを的確に捉え、爆発的な成長を遂げている。今後は、モバイルの領域で際立つ独自性をより一層追求。さらにはそのノウハウを結集することにより、「国際事業」「新規事業」へと、事業領域を次々に拡大していく予定だ。

資本金 43億2887万円
設立年月 1999年3月
従業員数 540人
平均年齢 30.6歳