株式会社ライフワン

株式会社ライフワンは、住宅設備機器や家電製品のインターネット通販とリフォーム事業を軸に、持続的成長を遂げている会社だ。

同社が扱う領域は、給湯器やガスコンロ、洗面台、トイレ、エアコン、エコキュート、IHコンロといった住宅設備機器と、炊飯器や洗濯機、冷蔵庫等の生活家電、さらにシステムキッチンやトイレ、お風呂、洗面台等の水回り製品である。WEBサイト上では、器具や設備の購入だけではなく、各器具の取り付け設置やリフォーム工事まで、全てWEBサイト上で手配することが可能だ。

2023年9月現在、『生活堂』『ジュプロ』『住の森』『ジャストリフォーム』『取替ドットコム』等、自社サイトとモール型を合わせた8店舗のECサイトを展開。その上で東京本社、神戸支社の他、神奈川、千葉、埼玉、北海道、愛知、大阪、広島、福岡と8都市に工事事務所を構え、さらに全国主要都市に協力会社二百数十社のネットワークを構築して、全国のニーズに対応している。

2005年2月の創業以来、18年間の販売件数は280万件以上、工事件数は110万件以上に達する。売上金額でも同業他社を圧倒する。2023年1月期の全社売上は150億円を超えるが、年商100億円台に乗せている同業者は存在しない。

取締役執行役員・三上敏雄氏は語る。
「当社はリフォームに関してもテレアポ営業は一切行っていません。お客様は、WEB上で商品カテゴリー、メーカー、型番と順番に選んでいくと概算見積もりができて、その金額を見てお問い合わせフォームから現場調査依頼等のメールを送るという仕組みになっています。当社のリフォーム営業は、そのお問い合わせを頂いたお客様宅を訪問します」（三上氏）。

同社の強みは、この受注システムをはじめとする徹底したシステム化である。現調依頼までの工程だけではなく、その後の顧客対応も、受注、設置判定、日程調整の3工程に分け、順番にステータス管理できるシステムを構築することで、電話対応を3割程度に抑えている。同社は、このようなシステム化によって、大幅な省人化を実現。リフォーム事業部を例に取れば、関西、関東合わせて、たった4名で事業運営している状況だ。

「人が仕事をするのではなく、システムが仕事をするという考え方で整備しています。人の仕事は、残っている属人的な業務をいかにシステムに置き換えていくかを考えることです。現業部門だけではなく、総務、経理、人事等の管理業務も定期的に業務を見直しながら、システム化を進めています。それによってこの数年間、売上高が伸びるに連れて人件費率は下がり続けています」（三上氏）。

もう一つの強みは、仕入れ力だ。大阪、埼玉、群馬の3カ所に倉庫を構え、潤沢な在庫を確保。常に即納可能な状態を維持することで購買操作中の途中離脱を防ぐ。コロナ禍の影響で半導体が不足し給湯器の欠品が続いた時期も、同社は安定供給ができた。コロナ禍の影響をまともに受けた2022年1月期の決算でも前期の水準を維持している。

これまで住宅設備機器の付け替えや水回りのリフォーム工事は、地域に根ざした工務店や住設会社、またはガス会社等が担ってきた市場だ。ECは売り手の顔が見えないため、製品の購入まではできても、施工の見積もりをインターネットで申し込むという概念は広まりにくかった。

同社も創業時は商品の販売のみを行っていたが、一般消費者は自身で工事ができないため、サイトを訪れた人達から工事に関する問い合わせが相次いだ。そこで創業者自ら施工を担う協力会社を探すとともに、自社工事スタッフや顧客対応スタッフの採用・育成を行い、事業体制を整えてきた。

以来“最高のサービスでお客様に感動を”という企業理念に沿って、顧客満足度の高いサービスを展開してきた同社。複数のECモールでも高い口コミ評価を得て、複数年にわたる年間賞の他、数々の賞を獲得してきた。リピート率も高く、施工スタッフ指名によるオーダーも珍しくはない。

システム化に着手したのも、各モールでの評価が高まるに連れ、業務が煩雑になってきたことがきっかけだった。

「ECモールのアワード獲得数が一気に増えたのが2015年です。評価が高まるに連れ、業務が忙しくなり残業も増えました。そのような環境では顧客対応も満足にできなくなりますし、社員の労働環境が劣悪になれば、いずれブラック企業として評判を落とすことは容易に予測できました。そうなる前にシステム投資をしようと決め、一気に進めてきました。2016年頃から1期目のプロジェクトに着手して3年前にリプレースが完了しました。その後、さらに2期目のプロジェクトに取り組み、今秋リリースする予定です。このようなシステム投資によって業務効率化が進み、現在ではほとんど残業もなくなりました」（三上氏）。

三上氏が入社した時期はちょうど10年前の2013年。その後、システム化を経て、売上をさらに伸ばしてきた。特に著しい成長を遂げたのは2020年以降だ。コロナ禍の影響で人間同士の接触が憚られるようになると同時に、自宅で過ごす時間が増えたことがきっかけで、住宅設備機器の入れ替えや水回りリフォームのEC化が一気に進んだ。同社も2021年1月期は前年対比123%の成長を果たし、2023年1月期もさらに成長を遂げている。2024年1月期も大幅な売上増が見込まれる。

「当社は各ショップのお客様から、高い評価を頂いています。大量仕入れにより、他社が追随できない圧倒的な低価格を実現していることも高評価の一因です。コロナ禍を機に、この市場でもECの認知度が高まり、購買層は確実に広がっています。今後は同じ商品を買うなら、納期や工期が早く、低価格で、さらに評判の良い店が選ばれることは間違いありません。他業界に比べてEC化率は低い市場ですので、さらなる成長が見込まれます」（三上氏）。

ただし、依然、器具の取り付け工事やリフォーム工事を探しているユーザーは、モールではなく検索エンジンを使って業者を探す傾向が強い。これまでECモールで高い評価を受け業績を伸ばしてきた同社だが、今後さらなる受注拡大を目指すため、自社サイトの集客強化に取り組んでいる。

現在、同社の従業員数は約100名。その他、千葉、横浜、大阪の各地域を拠点とする子会社3社が、それぞれの地域に密着する形で、同様のEC事業を展開している。その一方では新規事業も積極的に展開してきた。2022年には、子会社の一つ、リバイト社の事業として、南あわじに貸別荘『そらヴィラ海テラス南あわじ』を開業。また、2023年7月には、店舗の設計・施工会社と一般事業者を繋げるマッチングサイト『店舗設計施工.com』をリリースしている。今後は、住宅設備機器とリフォームのインターネット通販業界の中で、リーディングカンパニーとしての地位を築くとともに、新規事業を育て、長期的にはグループ全体で500億円企業を目指したい考えだ。

このような中長期的なビジョンと、自社サイトの集客強化という短期的課題に取り組むため、同社では事業体制の再構築を進めている。特に重要なのが、WEB制作を担うWEB制作課の増員である。現在、WEB制作課に所属する社員は10名。グループ会社が運営するECサイトを含めた18サイトの他、新規事業のサービスサイトやコーポレートサイトの制作、さらにSNS運用を含め、各事業のWEBマーケティング全般を担う。事業領域が拡大する中、社内コミュニケーションやドキュメント管理、タスク管理等は、適宜ツールを導入し業務の効率化を図ってきたものの、リソースそのものが不足し始めてきたため、WEBディレクター、WEBデザイナー、コーダー、各職種の採用を強化しているところだ。

同社の平均年齢は33歳。若い人材が活躍している会社である。WEB制作課の他、WEB管理課で構成される営業推進部を管掌する執行役員も40代前半だ。これまで事業推進上の意思決定には、創業者の意向が色濃く反映されてきたが、最近は現場から上がってきた若い管理職同士で話し合い、様々な施策を決めて実行する風土に変わり始めている。例えば『店舗設計施工.com』は、若手管理職の間で話し合って計画・実現した新規事業だ。

同社の魅力は労働環境の良さである。現在、タスクが増え続けている営業推進部でも、残業時間はほとんどない。年間休日数は125日と大手上場企業並みだ。システム化を推進し始めてからは離職率も激減。特に営業推進部の各課では、過去3年間、退職者を出していない。

「元々当社は神戸で創業した会社です。現在も中枢機能は神戸にあり、WEB課も全員が三ノ宮の神戸支社で勤務しています。神戸市はもちろん、姫路市、明石市等、兵庫県下に在住する方で、WEB業界でのステップアップを目指している方には、快適な環境を用意できると自負しています。自己評価も考慮した上で行う人事考課制度、理不尽な人間関係で悩む必要のないオープンな環境等も魅力に感じていただけるはずです。自ら発信する力を持った方を、お待ちしています」（三上氏）。