株式会社クロス

株式会社クロスは、流通企業と家電メーカー向けの独自のeラーニングコンテンツの開発・運用を中心に、一般向けのセミナー、企業コンサルティングなども手がける会社である。取引先はメーカー、情報・通信、金融、流通など多岐にわたるが、何といっても家電と流通の2つの領域に精通し、数々の実績を持つことが同社の特長だ。日本を代表するようなトップ企業にもサービスを提供している。eラーニングにセミナーと、教育や人材育成という面で企業活動を強力に支援する存在だ。

同社の代表取締役を務めるのは得平司氏。コンサルタントとして流通業界の指導歴は35年、家電業界の指導歴は25年という大ベテランだ。得平氏は、日本の流通コンサルタントの草分け的存在として、流通業界では広く名前が知られている故・成瀬義一氏に師事し、コンサルティングや業界について学んだ。アメリカ、ヨーロッパの流通事情を30回以上、国内の流通激戦地を100回以上視察した経験を持ち、最前線の現場に自らの身を置いて施策を立て、指導にあたってきた。この豊富な経験と実績を引き下げて、2007年にクロスの代表取締役に就任した。

日本で屈指の家電業界、家電量販店業界の事情通として知られ、雑誌やテレビ、ラジオなどでインタビューやコメントを求められることもしばしばだ。2013年にはなんとフジテレビ『笑っていいとも』の１コーナーに、家電コンサルタントとして出演したことも。近著には『ヤマダ電機のPDCA経営』（2012年、日本経済新聞社）がある。得平氏の知見を求めるビジネスパーソンは多く、同社が年2回、定例で実施している『家電量販業界徹底探求セミナー』は、既に10回目を迎え、毎回満員御礼の盛況ぶりだ。

この得平氏の経験と知見の粋を集めて作成するeラーニングコンテンツが、使われないわけがない。同社のコンテンツは、パソコンや携帯電話を活用して学ぶものだが、毎月20000人以上が受講しているという。作成するコンテンツの数は年間80本以上にも上る。同社が掲げる理念は「より多くの皆様に教育の機会を」。ITを駆使して多くの人に教育を浸透させることで、その理念を忠実に実行する。教育を通して会社の発展、ひいては社会の発展に貢献することを目指す会社だ。

そんなクロスの事業規模は、右肩上がりで拡大中だ。主力のeラーニングコンテンツ事業は、家電と流通という、極めて競走の激しい業界で展開している。変化のスピードも速い。人材の質が企業の実績や評価に直結するだけに、各社ともに教育に力を入れているのだろう。同社が手がけるサービスへのニーズは高い。

クロスの強みは、オリジナルのeラーニングコンテンツを制作、販売するだけでなく、eラーニングの実施・運営までの一貫したサポートができることだ。eラーニングは、コンテンツがありさえすればいいというものではない。LMS（学習管理システム）の運用知識を習得し、最適な運用フローを定めることも必要となる。そこまでも含めて支援し、eラーニング導入の敷居を低くしていることが同社の特長だ。

もちろんコンテンツの中身も多彩だ。新入社員向け、若手・中堅社員向けといった階層別のものもあれば、経営、営業、商品知識といった内容別のものもあり、さらにより高い学習効果と定着を狙い、必ず実施する企業にあわせたカスタマイズをする。クライアント企業のニーズを的確につかんで内容に反映するとともに、飽きることなく学び、確かな効果をもたせる工夫をしているのだ。

年間80本以上作成という実績で、クロスには他社にはない幾多のノウハウが蓄積されている。とりわけ変化の激しい家電、流通という業界で、常に時代のニーズを敏感に反映しながら、同社のコンテンツも進化を続けてきた。この領域において、人材育成のナンバーワン企業としての地位を確立すべく、同社は事業にまい進している。

時代の追い風も吹いている。今、教育の世界ではMOOC（＝Massive Open Online Courses）という大きな動きが起こっている。つまり世界中からオンラインで講義を受講できるというもので、同社の作るコンテンツも物理的な距離も国境を超え、広く世界に羽ばたくチャンスがあるということだ。今、クロスが力を入れているのは、特定企業向けではない動画教育コンテンツの制作と、それを世界に提供すべく海外事業の推進だ。既に2011年に北京支社を設立。世界への足がかりを着々と築いているところだ。

では、同社の仕事のやりがいとは何だろうか。主力の企業向けeラーニングコンテンツは完全オリジナルで、シナリオ作成から画面作成、撮影・編集、音声などもすべて内製で作っている。純粋にものづくりの楽しさはもちろん、大手流通メーカーや家電メーカーなどの数百人から数千人の社員が受講するコンテンツだと考えると、その影響力や多くの人に役立っているという実感は大きいに違いない。移転したばかりの浜松町駅近くのオフィスは交通利便性が抜群な上、スタジオも完備。アイデアをすぐに形にできる点も魅力だ。

教育事業を手がける会社だけに、社内の人材教育にも力を入れる。資料購入やIT・デザイン関連の資格取得には、費用の面で会社が支援をするほか、社内の勉強会も盛んだ。ベースにあるのは、人材こそがクロスの最大の経営資源という考えだ。

同社で活躍できる人材像としては、クリエイティブの経験があることは大前提だが、ものづくりへの探求心を持ち、さらに加えるならば、やはり家電や最新のデジタルガジェットが好きだという人が望ましい。ベースとして商品知識が欠かせない中、ハイスピードで進化するこの領域では、興味をもち、楽しみながら新商品にキャッチアップできることが必須だ。逆にそのような人にとっては、趣味と仕事がマッチしたとても楽しい環境に違いない。

代表の得平氏は大ベテランだが、同社のメンバーは30代が中心だ。和気あいあいとした雰囲気の中で、営業担当も制作担当もみんな楽しんで仕事をしている。得平氏が突出して年長ではあるが、その探求心や行動力は他のメンバーに勝るとも劣らず、今も次々と新しいことを吸収してはメンバーに惜しみなく還元する。それは一人ひとりのスキルアップと、同社が作成するコンテンツのクオリティーのさらなる向上につながっている。クリエイティブが好きでものづくりが好き、そして家電が好きという人にとって、「好き」を極め、自分自身も成長できる仕事がここにある。そのような人の参画を待っている。